Design is for EVERYBODY

デザインはみんなのもの

Futuress
井上麻那巳 訳

どうしてデザイン賞の審査員や受賞者は男性ばかりなの? どうして欧米でデザインを学んだことがステータスになるの? どうしてスマートフォンは女性の手には大きすぎるの? スイスを拠点にするグローバルなフェミニスト・コミュニティ「Futuress」が掲載してきた、「フェミニズム × デザイン」の視点でデザインの、そしてわたしたちの社会の当たり前を問い直す5本のエッセイを収録。トルコ、ノルウェー、アメリカ、インド、パレスチナまで。世界のフェミニストたちから届いた、希望と連帯のストーリー。

Table of Contents


My Grandma is Not a Cyborg
おばあちゃんはサイボーグじゃない

ムスリム系トルコ人の著者は、身長150cmの小柄な祖母を持つ。おばあちゃんが暮らしにくい環境をつくったのは誰のせい? スマホから医療用マスクまで、身の回りのプロダクトデザインを振り返り、そこに隠れたバイアスを読み解く。

A Canon Misbound: Feminist Lessons in Print
綴じられなかった正典

男性中心のデザイン業界に、シンプルが“良い”とされるデザイン規範。ノルウェーの状況は、まるで日本の写し鏡のようだ。記されてこなかった過去を振り返ることから、あるべき「未来の歴史」を考える。

Mutual Dreaming
同時に、同じ夢を見ること

中国系アメリカ人でクィア女性の著者が綴る、アメリカでアジア人として生きること。日常的なニュースやカルチャーに見る、さまざまな差別と偏見。アジア系の人々の運動の歴史に学ぶ、夢を見ること、連帯することの可能性。

On Caste: The Roots of Discrimination in Indian Design
カーストとデザイン

ヒンズー教に基づく身分制度が残るインドでは、上位階級の人だけがデザインを担っている。恵まれた人々だけがデザインの仕事を担うことの危険性と、染みついた規範に挑むデジタル世代の闘い。

Pastel-Coated Violence
パステルカラーの暴力

日本のアニメやキャラクターに見られるカワイイカルチャーには、女性を客体化し、現実で起きている暴力から目を背けさせてしまう負の側面がある。SNS上で、そして戦場で生まれている、カワイイの闇を検証する。

Bio


Futuress
フューチャーレス

Futuressは、スイス・バーゼルを拠点とする〈デザイン・フェミニズム・政治〉のためのオンラインプラットフォーム。小島 澪とマヤ・オウバーが共同ディレクターを務め、出版プラットフォーム兼ラーニングコミュニティとして、デザインについて学ぶ場をつくり、デザインに関する幅広い議論を行っていくことを目指している。定期的にイヴェントや研究ワークショップを開催し、世界中に散らばるコミュニティメンバーの問題意識から生まれたストーリーを公開している。

futuress.org
IG:
@futuress_org


Manami Inoue
井上麻那巳

グラフィックデザイナー、アートディレクター、Troublemakers Publishing共同代表。言葉とストーリーを大切にしたデザインを心がけ、著者やブランドの思考や想いをビジュアルに翻訳することを得意とする。ブックデザインを担当した本に、『We Act!』『反「女性差別カルチャー」読本』『フェミサイドは、ある』『いくつもの月曜日』などがある。ジェンダーイコールな社会を後押しするために、ジェンダーニュートラルなデザインを研究中。

manamiinoue.com

Credit & Information


TRANSLATION & DESIGN
Manami Inoue
井上麻那巳

EDITOR
Yuto Miyamoto
宮本裕人

PRINTED BY
Sannichi Printing
株式会社サンニチ印刷

PUBLISHED BY
Troublemakers Publishing
トラブルメーカーズ・パブリッシング

Language: Japanese
Size: 102mm × 162mm
Page: 96p
Cover Price: ¥1,650

November 2024
Printed in Japan
ISBN 978-4-911196-99-1